偶然ROM用のTwitterTLに流れて来て、興味を惹かれたので読ませてもらいました。11月文フリ頒布作品のKindle化だそうです。会場に行けなくてもすぐに読める、しかもUnlimitedで……うーん、便利すぎる。感想の最後から言うとすごく面白かったのです。で、よく見たらアンリミテッドで読める作品がたくさんありました。(藤あさや作品一覧)わーい読もう。積読たくさんあるけど。それはそうと「宝石の翼 セリエルの空」のあらすじです。以下amazon説明の引用。
テルミンを奏で、空を護る少年たちがいる。第一次世界大戦の終わらない世界にはひとつだけ奇蹟が実在した。その名はエーテル機関。聖歌隊の少年たちが奏でるテルミンが最強の翼を顕現させ、バトル・オブ・ブリテンの空を翔ける。けれどエーテル機関には公然の、後ろ暗い秘密があった……。セリエル音楽と奇蹟の機関の織りなすファンタジックSF航空戦記。
まあ私が性分としてあんまり小説を読まない人間なのですが、航空・空中戦の描写の多い話は初めて読みました。メカニックな専門用語がちょっと多いかな? 調べればすぐに「ああ、飛行機のあの部分かぁ」とわかるはずなので(例:キャノピーとか)、特別な苦はないかと思われますが。それより十二音技法(だったか)が知らなかったのでどんな曲なんだろう? となりました。でもわからないから想像するのもまた楽しい。ちなみにこんなのだそうです。テルミンではないけど。
テルミンを操作して飛行機を乗りこなす少年聖歌隊inブリテンという、キャッチーな内容だと思いました。最初、ファンタジー航空だときいて、昨今「幼女戦記」とか、美少女が手足に機械をつけて生身でジェットふかしぴゅんぴゅん空を飛ぶ作品とか(名前忘れた)、あと「アイアンマン」とかあるので、てっきり「鉄腕アトム」に近い飛び方をするのかと思っていたのですが、読んでみたらちゃんと飛行機に乗っていたので「ああ、そーいうことかぁ」となっていました。多分、そこらへんは作者の拘りなのではないかと思います。なるほど、飛行機が好きなんだろうなぁと。
生まれたときにお腹に臍玉という宝石を持った少年は、魔法のように飛行機を操り、飛ぶことができるという世界観です。主人公は、雪のような宝石(臍玉)を持った通称「スノウホワイト」。他にも「オニキス」と呼ばれる少年や「赤珊瑚」と呼ばれる少年も。みんな声変わりをする前の正真正銘の子供です。でも、大人になると(声変わりをすると)空を飛ぶ奇蹟を起こすことができなくなり、聖歌隊を辞めなくてはいけない、という。そして世界は戦火に包まれている……。
ジュブナイル小説、でしょうか。少年少女時代の精神的な危うさとか、繊細さとか、そういうのが好きな方はオススメです。透明な糸で丁寧に編み込まれたような、そんな読み応えでした。あんまり丁寧すぎるものだから、中盤くらいまで「これどうやって終わるんだろう?」と思っていたのですが、最後の方に結構などんでん返しがあってきちんと終わってくれたので良かったです。最後の飛行はすごくドラマチックに感じました。かっちょえーな飛行機乗りは。粋な主人公ですよね。あのあと主人公は自分の道を見つけることができたのか、気になるところ……。(きっと大丈夫だと思うけど!)
テルミン・航空/空中戦闘描写・歴史的背景・他諸々の知識が丁寧に書かれていたので話に厚みを感じました。文章力も高い。変な言い方だけど、プロっぽい。それに外国風景もちゃんと外国っぽくて違和感がほとんどなかった。(いや、たまに外国風景なのにどこか日本の原風景を思い出させる小説とかあるので……たまに、ですけど……)とにかく読んでて、どひゃー、でした。まああんま小説読まない私が言っても説得力ないですが、ハヤカワとか創元社あたりから出てそうな文体かなぁと感じました。それか講談社ノベルスとか……。うーんこれはちょっとわからんか。ここまで話して、この記事読んだ人に「宝石の翼 セリエルの空」がどういう小説かイメージしてもらえたらいいな。
あと空中戦が熱くてかっこよかったです。すごい気迫でした。飛行機ものの映画、なんとなく避けてたけど見てみようかなぁと思い始めるくらい、面白かったー。
私がごちゃごちゃ言うよりも、これは読んでみないと伝わらないやつかもなと書いてて思いました。ファンタジー航空機の成り立ちとか、とにかく設定が細かいです。Kindleunlimited会員の人はぜひ読んでほしいですね。若干、序盤の15%くらいが眠くなるかもだけど(すみません)(専門用語が多くて←ダメなやつ)、それを越えたら面白さが変わります。少なくとも私の中で印象は変わりました。
相変わらず言いたい放題で悪いのですけど、以上が感想になります。どうもこういうふうにしか感想を書けないみたい。まあしょうがない。他の書き方も知らないもので……。